敏感期にいる子どもたちは、環境と恋仲になると表現されるくらい、とあることに情熱を傾けて取り組みます。
この敏感期で獲得できる様々なスキルは、楽しく身に付き、なおかつ一生もののスキルになります。
敏感期についてこんな疑問を感じていませんか?
モンテッソーリ教育の敏感期はどんなものがあるの??
モンテッソーリ教育の敏感期を知ったらどんないいことがあるの?
敏感期の具体的な活かし方は?
当記事では、敏感期に関する様々な疑問にお答えするための解説記事です。この敏感期を理解することで以下のようなことが起こります。
- 子どもの謎の行動やイタズラは成長のために欠かせないことだと気付く
- 子どもに対してイライラすることが減る
- 子どもの一番のサポーターとして関わることができる
私は敏感期の存在を知らないがために、長男の数々の行動を制限してしまったり、しなくてもよい争いをしてしまったことがあります。
子どもたちの可能性を伸ばす敏感期について一緒に学び、我が子の一番のサポーターを目指してみませんか??
モンテッソーリ教育の敏感期とは?
イタズラじゃないよ!成長したいサイン!
いっけんイタズラと感じてしまうような子どもの行動は、実は敏感期の影響を受けています。子どもたちの様々な謎の動きは、自分の力で自分を成長させようとしている姿なのです。
以下のような行動をしている我が子を見たことがありませんか??
- ティッシュを引っ張る
- 石を排水溝に落とし続ける
- 穴を広げようとする
- 道路の白線や縁石を歩きたがる
子どもたちの謎な行動はあげたらキリがありませんが、上記のような不思議な行動は敏感期の影響を受けています。子どもたちは、つねに自分を成長させようと一生懸命なのです。
イタズラではなく成長のための動きなのね!そう思うとイライラせずに見守ることができそう♪
敏感期を理解しているのと、理解していないのとでは、子育てに大きな違いがでてきますね。
敏感期は情熱を持って一心に打ち込む時期=恋をする姿そのもの
恋 | 敏感期 |
周りが見えなくなる | 周りが止めても無駄。一心に行う。 |
心が満たされる | 自分のやりたいことをとことん行うので、心が満たされ安定する。 |
生き生きしてくる | 達成感を感じることで、他の意欲に繋がる。 |
長くは続かない | できるようになると情熱はあっさりなくなる |
モンテッソーリ教育で取り上げられる敏感期は、子ども自身がとある能力を身に着けるために、燃えるような情熱を傾けて取り組む時期のことを言います。
博士は、環境と恋仲になると表現するほど、恋をすることと、敏感期はそっくりだと語っています。
敏感期を恋仲と表現したマリア・モンテッソーリ。とても素敵な女性ですよね。
恋に例えると、謎の敏感期も身近に感じられませんか?みなさん、あの懐かしい恋をした日々を思いだしてみて♡
敏感期の表れ方には個人差が見られる
敏感期は、様々な種類があります。これらは、いろいろな敏感期と合わさって出現し、出てくるタイミング、出る深さも様々なため、個人差があります。
敏感期を理解すると、お友達と比べてもしょうがないことに気が付きました。
敏感期の種類(図解解説)
- 運動の敏感期(6か月~4歳半)
- 言語の敏感期(胎児7か月~5歳半くらい)
- 書くことの敏感期(3歳~5歳)
- 読むことの敏感期(4歳~5歳半)
- 秩序の敏感期(6か月~4歳)
- ちいさいものの敏感期(1歳~3歳)
- 感覚の敏感期(0歳~6歳)
- 数の敏感期(3歳~6歳)
- 文化・礼儀の敏感期(4歳半~)
運動の敏感期
運動の敏感期は6歳までの年齢で2回訪れます。
1回目の運動の敏感期は0~3歳の時に訪れます。立つ、歩く、つまむ、掴む、引っ張る、指すなどの日常生活の動作を習得するために、衝動的に動きます。
2回目は、3~6歳に訪れます。この年齢になると、獲得した動きを組み合わせて自由に動かしたいと感じるようになります。
また、自分のことができるようになるに伴い、周りに配慮できるようになります。
自ら周囲に働きかけ、誰かの役に立てることや、自分の力で達成できる経験から、自己肯定感や自己有用感に繋がっていきます。
運動の敏感期具体的な実践内容の一例
・ベビーカー等をなるべく使わず、お散歩をたくさん行う。
・日常生活の動きが自分の力で行えるような環境作り
・せかさない、イライラ防止のために意識的に時間を作るようにする。
・お手伝いなど家事に参加するなど
自ら行う力を身につけるための環境作りについては、こちらをご覧ください。↓
言語の敏感期
言語の敏感期は、胎児7か月から6歳までの期間に2回訪れます。
1回目は、胎児7か月~3歳の頃に訪れます。この時期に母国語の基本を習得します。話すこと、聞くことがとても楽しい時期で、カメラのシャッターを切るように全てを記憶していきます。
そのため、口元を良く見せて、ゆっくり少し高めの声で話しかけると語彙がどんどん増えていきます。
2回目は、3歳~6歳頃に訪れます。感覚の敏感期と重なり、一回目に吸収した言葉を、はっきりくっきり名前をつけて理解したいと思うようになります。
大きい、黒い、短いなどの形容詞や文法を使えるようになっていきます。
書く敏感期~文字を知る・手を作る・書く練習~
文字を知る
3~5歳になると、運動の敏感期の影響もあり書く敏感期が先に訪れます。
しかし、文字を書くには、文字を知る・手を作る必要があり、いきなり書くことができるようになるわけではありません。
文字には形・色があることを知ることが第一歩で、オススメなのが50音並べです。あいうえおと順番に置いていき、縦読み・横読みをしていくことを始めに行っていきます。
この縦読み・横読みが出来るようになると、文字を単体でも読める状態になっているので、書くスピードもアップしていきます。
我が家は、読む敏感期に差し掛かったこともあり、お風呂に50音表を貼っておくと、指差しをしながら楽しそうに読んでいました。
手を作る
文字を書くには、手を作ることがとても大切になってきます。
特に3本の指を自由に動かせるようになる必要があります
- 駒を回す
- 洗濯ばさみを使う
- 小さいものをつまむなど
3本の指をたくさん使う動きを行うことで、書く手の土台が作られます。
文字を書く練習
文字を知る、書く手ができる準備が整ったら、文字を書く練習を行うことができます。
なぞり文字をしてみたり、フェルトペンとトレーシングペーパーを使って文字をなぞってみたりすると、無理なく楽しく活動が行えます。
早々にポンとドリルを渡すのではなく、我が子の状況を見て、スモールステップで少しづつ進めていくことが、勉強嫌いにならないポイントです。
読む敏感期
4~5歳半くらいになると、口の周りの筋肉が発達するに伴い、身近にあるものをどんどん読みたいという読む敏感期が訪れます。
文字を読めるようになると、お勉強モードになりがちですが、6歳までの子は実際に動いて知っていくことで、言葉が定着していきます。
以下のような言葉遊びをしています。
言葉遊びの実践的内容一例
・言葉を書いたふせんを貼りに行くゲーム
・早口言葉
・回文
・逆さ言葉
・同音異義語など
・かるた遊び(ことわざかるた、行事かるた、俳句かるたなど)
子どもたちにとってことわざって魅力的♪たのしく日本語のリズムを楽しめます!
秩序の敏感期
生後6か月~4歳半。2歳をピークにして、3歳半くらいで落ち着いてくるのが秩序の敏感期です。何も分からず生まれてきた赤ちゃんは、世の中のことを秩序づけて理解していきます。
ポイントは、いつもと一緒ということです。順番・場所・習慣などいつもと同じにすることで心の安定に繋がります。
いつもと同じを大切にすると、身の回りのことを自分で秩序付けて行えるようになってくるので、親の負担もぐっと減ってくるのです。
また、秩序感を大切にすることで、段取り力も身に着いていきます。
我が家で起こった秩序の敏感期の具体例
・ここはお父さんの席なのに、どうしてお母さんが座っているの??とずっと尋ねられる。
・いつもテレビを消してくれていたが、たまたま近くにいるお兄ちゃんがテレビを消すと20分くらいずっと泣き続ける
・お片付けの場所を決めると、自分でしまうだけではなく、周囲にしまう場所を伝えてくれる。
ちいさいものの敏感期
1歳~3歳に表れる敏感期です。生まれたばかりの赤ちゃんは、生まれると直ぐに目の焦点を合わせる練習を始めます。
小さい物に焦点を合わせられると喜びを感じるため、モビールなど非常に有効です。
小さいものをよく見つけ、すぐに口にいれようとするのもこの敏感期の影響です。親は注意が必要な時期ですよね。
感覚の敏感期
0~3歳までは、全ての物を吸収する時期。
3歳以降は、吸収して物をしっかり分類・整理したい時期。以下のような特徴がみられます。
- 同一性
- 二つのものを同じと感じる。
- 比較
- 2つの物事を順番を付けて並べる。
- 分類
- 3つ以上の中から共通する性質を見抜いてグループ分けにする。
同一性・比較・分類は私たちがやっている論理的思考に繋がってくるものです。
具体的な活動
・視覚→大きいボールはどっちかな?
・聴覚→ドレミの聞き分け
・触覚→重い、軽い、手触り など
段階を踏んで少しづつ相対的な感覚を身に着けます。
数の敏感期
4歳半~6歳頃に訪れる数の敏感期。数字を数えたくてしょうがない時期です。
数を理解するには、現物と量や数字(現物・数詞・数字の3者一致)を一致させることが大切です。
数の敏感期がくると、同一性や分類したいという感覚の敏感期、手指を使いたい運動の敏感期と合わさって数えたいという活動が後押しされます。
そのため、いきなり演算を取り入れるのではなく、日常的に生活の中で動きながら数に触れる機会を作っていくのがオススメです。
そうすることで、小学生に上がった際に紙の上でも戸惑わずに学習に取り組めるようになります。
具体的な活動
・ストップウォッチで1分計って見る
・おやつを分ける
・秤を使って物の重さを量る
・隣町まであと〇分で到着するよ
・車は時速〇キロ出てるよ!など…
文化・礼儀の敏感期
5歳に近づくと、文化や礼儀の敏感期が訪れます。世の中の仕組みや、原理原則を知りたくなり、特定のジャンルを深堀したくなるのはこの時期です。
これなあに?の言葉を知りたい時期から、なんで?と物事の探求に意識が移行していきます。
なんで?が学びの始まり。一緒に考えたり、一緒に調べてみたり…学びの種まきをしたいですね♪
また、大人の言葉遣いや倫理観などマナーと呼ばれる社会性を育てていくために善悪を判断する時期でもあります。
大人の私たちは我が子の見本となれるように、普段からの立ち振る舞いや言葉遣いに気を付けたいものですね。
具体的な活動
・季節の行事を家族で楽しむ(お正月、節分、ひな祭り、お花見、十五夜など)
・図鑑をリビングに置く。
・リビングに地球儀を置き、国の話題が出たら調べてみる。
我が家が使っているオススメ地球儀はこちら♪アプリを使って世界のリアルタイムの情報や文化を知ることができます!
大人がやりがちなNG行為
大人がやりがちな、過去の私も無意識にやってしまっていた以下のことがあります。
- 中断させる
- 大人がせきたてる
- 代わりにやってしまう
日々に追われていたり、何事にも時間が掛かってしまうから、つい手が出てしまうのよね。
その気持ちとてもとても分かります。どうしても、時間がない時ってありますよね。そんなときは、ごめんねと伝えてから代わりに行うこともありますよ。
『ごめんね!やっちゃうね!』の声掛けが多くならないようにしています。
準備する時間を多めにとったり、子どもが準備しやすいように物の置き場所を設置したり、一部だけお手伝いしたり…様子を見ながら試行錯誤中です。
子どもはまったく急ぐ必要のない、ゆっくり世界の住人さん。ゆっくり10数えて待つように心がけています。
ゆっくり世界の住人さんだと頭に入れて関わることで、子どもたちの成長しようとする姿を後押しできます。このぐっとがまんのちいさな積み重ねが成長に繋がります。
なんでも好きなことをさせていいわけではない!
じゃあ、子どものやってはいけないことも止めちゃだめってこと??それは、ちょっと・・・
いえいえ!なんでも好きなことを自由にやっていいわけではありません。こんなことを意識して声を掛けています。
- 命に係わる危ないことは、しっかり止めて理由を伝える。
- 周りに迷惑になることは、なぜ迷惑になるかを理由を伝える。
- 注意した後は、我が子が思う存分出来る方法は何かないかと考える。
私がストップをかけた1例・その時の対処方法
長男が3歳くらいの時に、ねじ跡に割りばしをさしてグリグリ穴を広げている姿を発見。さすがに、壁の穴を広げられるのは困るので慌ててストップをかけました笑
そのかわりに、ひねる活動ができるようにねじとナットを用意したり。穴の広がる感覚が楽しいのではと思ったので、粘土と割りばしを用意したところ、夢中になって行っていました。
一定のルールを明確に決めて、ここまではOKだけど、ここからはNGだよというぶれない強い気持ちも大切だったりします。
まとめ:モンテッソーリ教育の敏感期について
敏感期は、訪れる時期や出現してくる深さなど個人差があるものの、ある程度の目安として把握しておくと、子育てが楽しく、ぐっと楽になります。
子どもたちは、決して親をイライラさせようとしているわけではなく、自分自身を高めようとしているだけなのです。
敏感期は主に次の9つがありました。
- 運動の敏感期(6か月~4歳半)
- 言語の敏感期(胎児7か月~5歳半くらい)
- 書くことの敏感期(3歳~5歳)
- 読むことの敏感期(4歳~5歳半)
- 秩序の敏感期(6か月~4歳)
- ちいさいものの敏感期(1歳~3歳)
- 感覚の敏感期(0歳~6歳)
- 数の敏感期(3歳~6歳)
- 文化・礼儀の敏感期(4歳半~)
あ!今うちの子○○の敏感期が現れてるわ。と敏感期を見つけられるようになってくると、子育てがより楽しいものになってきますよ。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。最後までありがとうございました。